口の粘つき、口臭、歯周病
こんにちは
京都市伏見区京阪宇治線の桃山南口の仁科歯科医院の仁科真吾です。
口の中のサイレントディジーズ
沈黙の病気-歯周病
歯周病とは?
歯周病の原因と歯肉炎との 違いとは?
歯周病で歯肉から膿が出たりする原因は、歯周病原菌と免疫が戦った死骸です。
つ まり、歯周病という状態は、歯周病原菌が口の中で繁殖している状態にな ります。
歯周病原菌がいれば、どんなにきれい に歯を磨いても歯周病は治らないのです。
歯周病になると、歯の周囲の骨が溶けてなくなります。
歯肉炎は歯 肉だけに炎症が起きた状態です。
これは大きな違いですが、意外と自分で はわかりにくいので歯科医院でレントゲン写真を撮影しないとわかりません。
口の中に蓄積される細菌のかたまりであるプラークには、600~800種類 の細菌が存在していると考えられています。
「レッド・コンプレックス」と呼ばれる3種類の菌が危険な歯周病菌です。
プロフィロモナス・ジンジバリス、
トレポネ ーマ・デンティコラ、
タンネレラ・フォーサイシアです。
この歯周病原菌 がいると歯周病が進み、骨がどんどん溶けてなくなって しまうと考えて下さい。
また、歯周病は菌の種類によってタイプが違いま すので、正確な診断には歯周病原菌の検査が有効です。
日本人が歯を失う原因の第一位は何だと思いますか? 答えは、歯周病です。
歯を残すために、最も取り組むべきは歯周病です.
歯周病を防ぐために必要なことは?
歯周病はうつる?
答えは歯周病はうつります。
歯周病原菌は、歯ブラシやキスなどによって口から 口へとうつるので気を付けなければなりません。
歯周病原菌の感染を防ぐためには、歯ブラシの共有は避けた方がよいで す。
また、キスのときにはいやな口臭があるかどうかのチェックは忘れずに。
一方で、菌の繁殖を防ぐために歯ブラシは定期的に新しくするのも大切です。
3週間で1億のばい菌が歯ブラシに繁殖すると言われています。
さらに菌の感染には、全身の免疫力が関係しますから、全身を健康に 保つことも大事です。
特に歯周病は歯肉の病気なので、歯肉に栄養を与えている血管の健康には 注意してください。
逆に歯周病が血管を痛めてしまうこともあります。
人 は血管から老いるということから考えると、歯周病は全身の老化度を反映していると言えるかもしれません。
歯周病に気が付くきっかけは?歯周病と痛みの関係は?
歯周病は、初期や中等度の段階ではあまり気がつきません 。
「サイレントディジーズ゙」と呼ばれる所以です。
歯肉からの出血や痛みが出てくる ときには、かなり進行した段階と考えていいです。
痛い歯だけではなく、 他の歯も歯周病が進行している状態と考えた方が良いです。
他には、 歯が動いてきたり、口臭がしたりすることから気づくこともあります。
いずれにしても、初期には症状がなかなか現れないので注意が必要です。
歯周病が進行し、歯肉に膿がたまったり、歯周病原菌が歯の神経に感染したりすると強い痛みがでます。
その時、骨はかなり溶けてなくなって いて、すでに歯がグラグラのことが多いでしょう。
一度溶けてなくなって しまった骨は、再生医療の進歩をもってしても、健康な状態への回復はほ とんど見込めません。
歯周病は、なるべく早い段階で発見し治療すること が大事です。
歯周病が心配なときには、歯科医院で検査をしてください。
歯周病の初期にチェックリストはありますか?
歯茎から出血したり、膿が出たりする
口臭がする朝、口の中がネバネバする
歯茎が腫れて赤い歯が長くなった
硬いものを噛むと痛い
歯がグラグラする
歯茎がやせてきた
歯並びが悪くなってきた
歯と歯の間のすき間が大きくなり、物がはさまりやすい
歯周ポケットと歯周病との関係は?
歯と歯肉との間のすき間が、歯周ポケットと言われているところ です。
従 来、歯周ポケットが4mm以上だと歯周病と診断されてきましたが、1~ 3mmだからといって歯周病原菌がいないわけではありません。
昔、たく さんの人を対象に測ったときに、1~3mmの範囲だと、歯周病原菌が少な いと示されたにすぎません。
ですから、歯周ポケットの深さは目安の一つで、歯周ポケットが1~3 mmで浅いからといって、歯周病ではないと安心できるわけではありませ ん。
歯医者さんで、歯周ポケットが浅いときに歯周病ではないといわれること もありますが、あくまで統計学的な目安ですので、これを根拠に歯周病を診断するのは正確とは言えないと考えています。
歯周ポケットが1 ~3mmでも、どんどん骨が溶けて歯茎が痩せていくことだってあります。
歯周病の原因は歯周病原菌ですから、歯周病原菌の検査が大事なので す。
歯周病は遺伝と関係する?
歯周病は遺伝と関係すると考えられています 。
ですから、家族で歯周病に なりやすい人がいるような場合には、ご自身も注意すると良いでしょう。
遺伝と関係するため、夫婦でも旦那さんと奥さんの両方に歯周病があるこ とがあれば、片方だけに歯周病が見られる場合もあります。
両親のどちら かが歯周病であるときには、子供の歯周病には気にするとよいでしょう。
歯茎から出血との関係について
歯茎からの出血は歯周病と関係します。
明確に出血していると分かりますが
気がつかない程度の場合もあります。
一方で、口臭は歯周病ならではの独特なにおいが現れるようになり ます。
朝お口の中が粘つく、会話中唾液が粘つくという場合は気をつけてください。
歯周病になると歯はどうなる?また全身への影響は?
歯周病になると、歯を支える骨がなくなります。
歯が正常であっても、支 える歯がなくなると、噛む力に耐えられなくなり、歯が揺れてくるので す。
ひどいと歯を失う結果にもなります。
さらに、歯周病で歯肉が痩せた ために見えてきたしまった歯の根は弱く、歯茎の下に隠れている象牙質が露出するので虫歯にもなりやすくなるな ど、
歯への悪影響も出てくることもあります。
歯が動くことで、噛む力が出ず、身体全体の力も入らなくなります。
そして全身の健康状態にま で問題が及んでしまうのです。
歯周病の検査とは?
歯周ポケットの検査
レントゲン検査
ガス検査
歯周病菌の検査
などがあります。
歯周病の治療とは?
歯周病の治療は、歯周病原菌をなくすことが大切です。
根本的な原因である歯周病原菌をターゲットとした治療 が重要です。歯周病というのは見えない菌との戦いなのです。そこを中心 に考えるとよいでしょう。
歯のクリーニングをすることも大切です。その際にも全体を一気にクリー ニングするのが有効だと分かってきています。
歯周病の治療のために、歯 の再生治療といった方法も登場していますが、未知数というのが正直なと ころです。
歯周病原菌を踏まえた除菌治療の研究は進行中ですので、今 後、まだまだ改善の余地が残っていると考えられます。
歯周病と病気との関連性は?
歯周病は身体の炎症と関連していると知られています 。
糖尿病があると、 身体の炎症が起こりやすくなりますから、歯周病にもなりやすくなりま す。炎症によって、血糖値を下げるホルモンのインスリンに影響を及ぼし てしまい、血糖値が下がりにくくなることも分かっています。
歯周病になることで、全身の炎症が起こりやすくなります。
歯周病 を治療すると、糖尿病の治療効果が改善するようなケースを見ることがあ ります。
歯周病菌の影響で全身の血管に血栓ができやすくなります。
この結果、心筋梗塞や脳梗塞な どの血管の病気が起こりやすくなる恐れもあります。
歯周病は口の中のばい菌の感染ですが、
誤ってこの細菌が肺に入ることで、肺炎を起こすこともありま す。
歯周病が進行すると、噛めなくなりますので、全身が衰弱することもあり ます。
人が元気であるときには、しっかり食べ物を噛んで飲み込むことが できます。
その流れの中で、噛めなくなったり、飲み込みにくくなったり すると、栄養摂取の効率が悪くなったり、高齢ですと誤嚥性肺炎の原因に なったり、奥歯で噛めないと全身の力が入らなくなったりします。いつま でも噛めると健康にもつながるのです。
いつまでも若く元気でいるために、歯周病の対応は重要ですし、全身が健 康でいることが歯周病を防ぐのです。