歯科医院内のカウンセリングルームで、お付き合い長い患者様のお話をお聞きしていると、
「孫に口が臭い! と言われたのよ」
「いくら歯磨きをしても口臭が消えないのよね」
「ガムを噛んでもすぐに臭うような気がする」
「話している相手が鼻に手を当てたのよ。もしかして私の口臭?」
「先生、私の息は大丈夫?」
と、口臭の悩みや不安を口にする方が少なくありません。
これは、私のことを『気の許せる相手』と認めてくださっている証拠だと有り難く思うと共に、「口臭を気にしたり、悩んでいる人が意外と多いなぁ~」と感じています。
ところが、お付き合いが始まって1年未満の患者様や、初めて来院する方になると『口臭相談』が極端に少なくなります。
やはり口臭はデリケートな問題なので、なかなか相談できないのだと思います。
実は私にも「口臭のことはデリケートで指摘しにくい」という体験があります。
平成11年12月29日に父が他界したのですが、亡くなる2年ほど前に父と会話していたとき、父の口臭に気付きました。ガンが原因の口臭であったことは分かっていたのですが「お父さん口臭が酷いよ」とは言えませんでした。
家族でも遠慮するくらいですから、はじめての患者様やお付き合いが始まって1年未満の患者様からの相談が極端に少ないのは当然のことだと思います。
しかし、「孫に口が臭い! と言われた」と悩みを相談してくださった女性は、相談後直ぐに、検査の開始 → 口臭の原因が判明 → 治療開始 → 口臭菌を減らす/うまくコントロールする → そして、治療開始から6カ月後の再検査で、『合格です♪』と診断され、さらに3カ月後の定期検査の来院時には「先生、孫がキスしてくれたんですよ。嬉しい♪」と笑顔で報告してくれたのです。
誰にも相談できない口臭問題。
この解決には、『専門家に相談する』。そして、『検査を受けて口臭の原因を突き止める』ことが大原則になってきます。
ところが、私の耳にはこんな小さな声が聞こえてきます。
「先生、そんな面倒なことしなくても大丈夫でしょう。世間にはいろいろな口臭対策商品があるじゃないですか。あれだけの種類があると自分の口臭にも効く商品が絶対にあると思うわ」
このように口臭対策商品に期待する気持ちは理解できるのですが、原因を突き止めずに口臭対策を行ってもその効果は30分程度で、根本改善は期待できないのです。
「えっ、では原因を突き止めるためにはどうしたらいいの?」
口臭の原因を突き止め、治療改善するには専門医に診てもらわなければなりません。
「でも、専門家による口臭治療って聞いたことがないなぁ~」
「口臭治療って何をするの?」
たしかに、『耳鼻科』『口腔外科』などの診療科目はあちこちで見たことがありますが、『口臭治療』というのは見たこともないし、その内容も全く想像できないと思います。
そこで、その『口臭治療』に関する素朴な疑問について本小冊子でお答えしたいと思います。
- なぜ専門家による検査を受けることが大切なのか。
- そして、その検査とはどんな検査なのか。
- さらに、口臭治療とはどのような治療なのか。
この3つについて、専門用語の使用をできるだけ避けて解説していきます。
そして、この小冊子を読み終えたとき、
「なるほど、口臭治療の全容がわかったわ♪」
「よし、ちゃんと専門家に相談しよう」と、多くの方が小さな第一歩を踏み出していただければと願っています。