口臭治療の基礎知識

「いらっしゃいませ♪」
と、明るい声でお客様に挨拶する※1美香さん。
学生時代からアロマの魅力にとりつかれアロマ店でアルバイト。そして、大学卒業後もこのお店で正社員として働いていました。

相手が鼻に手を当てたのは私の口臭が原因かも？

ある日、会社帰りと思われる女性がお店に入ってきました。そして、アロマエッセンスが並ぶコーナーで立ち止まり、パッケージの裏面に表示されている成分を見たり、パンフレットの説明文を真剣に読んでいました。「あのお客様は初心者かな？わからないことがあるのだろう」と察知した美香さんは、
「どうぞ、ハーブティーです」「お客様、何かでお困りですか？」
と声をかけたのです。

するとその女性客は、
「今、インフルエンザが流行しているので、殺菌効果のあるサッパリした香りのものを探しているんです」
とやさしい笑顔で答えてくれました。

そこで美香さんは、
「それならユーカリをお勧めします」
と、その効能について語りはじめました。
美香さんは、お客様の目を見ながら丁寧に説明を続けていました。すると、お客様の表情が徐々に変わってきたことに気づいたのです。「どうしたのだろう？」と不審に思いつつも、美香さんは説明を続けました。すると、「あれ、このお客様は飲みかけのハーブティーのカップで鼻を隠しているのでは？」と感じたのです。
そして、
「ティートリーというアロマは、うがいにもいいんですよ」
と、説明を続けているとお客様が手で鼻を隠してしまったのです。「えっ、もしかして私の口臭？」「いやいや、そんなことはない。お客様は口元に自信がないのかな？」と気を取り直してなんとか説明を続けたのです。

美香さんは接客を終え、お店を出て行くお客様を見送ると、直ぐに化粧室へ行き鏡の前に立って自分の顔を見つめました。
「もしかして私の口臭が原因なのだろうか？」「でも、1日に3回ちゃんと歯磨きをしているし……」と、鼻と口に両手をあてて自分の口臭を確認してみました。
「う～ん、特に臭くはないなぁ～。これは私の勘違いかも？」と、お店に戻って元気に接客を続けたのです。

ところがそれから1週間後、美香さんは風邪をひいてしまいました。「もしも、インフルエンザなら同僚に迷惑をかけてしまう」と、マスクをして出勤しました。そして、その日の午後、昼食を終えて再びマスクを着けたとき、そのマスクの酷い臭いに気づいたのです。
「もしかして、私の息は臭いのでは？　周りの人を不愉快にしているのでは？」

口臭が及ぼす人間関係への悪影響について

コンビニなど、緻密な市場調査を元に商品を並べているお店では、口臭対策のガムが目立つ場所に陳列されています。
これは多くの人が「自分の口臭が人間関係に悪い影響を及ぼしているのではないか？」と心配し、恐れている証拠ではないでしょうか。

株式会社ブレーンコスモスの、『口臭が人間関係悪化に及ぼす影響に関する調査』からも次のことがわかります。

次に下のグラフを見てください。
「口臭を感じたとき、あなたはどのように対応しますか？」という問いに多くの人が、「相手の口臭が酷くても我慢する」と答えています。
また、「口臭を感じる人からどれぐらい離れたいですか？」という問いに、約5割の人が「1～3メートル」と答えています。しかし、この距離ではその口臭から逃れることができない可能性があります。おそらく、「人間関係を大切にしたい」「あからさまな表現は避けたい」という心理が働くのではないでしょうか。
このことが下の円グラフからもわかります。

８割の人は自分の口臭に気づかない

アロマ店で働く美香さんのように、人は誰でも『他人の口臭には敏感』。
しかし、『自分の口臭にはかなり鈍感』です。
『自分の口臭はなかなか気づかない』。これが口臭のやっかいなところです。

では、口臭対策を始めた人はどのようにして自分の口臭に気づいたのでしょうか？
私の医院でも患者様に「どんな場面で自分の口臭に気づきましたか？」と質問すると、次のような答えが返ってきます。

① 主人から「おい、お前口臭がひどいぞ！」と言われた
② 孫から「おばあちゃんの口臭い」と言われた
③ デートのとき、寄り添って話していたのに、なぜか彼氏、彼女が少し距離をとった
④ あくびをしたときや、口元に手を置いたときに、手から反射した息が臭った
⑤ フロスをしたとき口の中に変な臭いが漂った
⑥ 仲の良い友人が、親切心で指摘してくれた

これらの共通点は、『口臭を指摘してくれた人はかなり親しい間柄』ということです。
会社の同僚・普通の友人ぐらいの関係では、なかなか指摘してくれないのです。

では、親切な友人から「あなたの口臭は酷い」と指摘を受けたとします。
あなたはこんな心理になるのではないでしょうか。
「私が話し始めると、また鼻に手を当てられるのかなぁ？」
「相手が不愉快な思いをするのだろうか？」
そして、

① 話すことが面白くない。元気が出ない
② 下を向いて話すようになった
③ マスクをずっと着けるようになった
④ ガムをずっと噛んでいる
⑤ 香水をつける

という行動を起こすのです。
例えば、あなたが香水をつけたとしましょう。

初めは「いい香りだなぁ～♪」と思っていても、時間の経過と共にその香りを感じなくなりませんか？
周りの人は、その香水の香りをしっかり感じているのに、香水をつけた本人はその香りを感じなくなるのです。
それは、口臭も同じです。
「私は若いので、口の中の健康状態も良好。口臭なんて関係ない」「僕は歯磨きを毎日3回やっています。そして、ポケットには常に歯磨きガムが入っています。私の口臭対策はバッチリです」と、自分は大丈夫と自信を持っていても、自分の口臭を感じないのは自分だけで、周りの人からは、「あの人の口臭が気になる」と思われているケースがよくあるのです。

自分の口臭は自分には臭わない。自分ではなかなか気づけない。

さて、あなたの口臭は大丈夫でしょうか？

※1　美香さんは仮称です

仁科歯科医院の口臭治療の概要を知っていただくために、ある女性の体験談をご紹介しました。
本内容は、小冊子「仁科歯科医院院長　仁科真吾著『相手を不快にする口臭を根本から解決する方法』」に収録の内容から一部抜粋したものとなっております。本小冊子では、仁科歯科医院口臭改善プログラムについて詳しくご紹介しています。